仙川日記

季刊『フライの雑誌』編集部発
後楽園へ小橋を見に行った。
腎臓がんから生還したプロレスラー小橋の試合を見に行った。

聖地・後楽園ホールへ2年ぶりにその勇姿を現した小橋を、2100人満員の観客が熱狂的な小橋コールで迎えた。もちろん私も声をからして叫んだ。昨年末の武道館での小橋復帰戦はチケットがとれなくて観戦できなかった。ようやく生の小橋を観ることができるのだ。

リングに立った小橋は、かつてのタッグパートナーで数々の死闘を繰り広げて来たライバル秋山と、得意技の応酬を繰り広げた。小橋の逆水平チョップ、秋山のエクスプロイダー、小橋のハーフネルソンスープレックス、秋山のジャンピングニーアタック、そして小橋が剛腕ラリアットで秋山をなぎ倒した。一番良い時の小橋と同じだ。ああ小橋が戦っている。

場外乱闘でなんと小橋が私の目の前、わずか2メートルのところで逆水平チョップを連発してくれた。やられた志賀の胸板は見る見るうちに真っ赤にはれあがり、小橋のチョップの威力を見せつけた。やっぱり小橋はすごい。いったいなんなんだあの腕の太さは。

試合後、小橋は懐かしいようなまぶしいような表情で後楽園ホールの観客席を見上げ、東西南北をゆっくりみまわした。小橋の視線が届いた先の観客席が次々にどかんどかんと爆発していく。鳴り止まない小橋コール。ああ小橋が生きてリングに帰って来た。もう涙が止まらない。私もがんばって生きよう。小橋ありがとう。
| 仙川二郎 | 編集者無頼 | 10:47 | - | trackbacks(0) |
どうしよう。
常々、批評には愛が必要だ、相手を斬るなら相手と同じだけの血を流す覚悟がなくては刃物を持つ資格はない、と思っている。

月刊『Fly Fisher』誌さんが6月号で掲載してくれた、小社新刊「イワナをもっと増やしたい!」の書評を読み直した。細部まで読み込んでくださっていることがよく分かる文章だ。

プレスリリースを丸写ししたようなおざなりな紹介が世の中には多い中で、この書評には書き手の視点と意見がしっかり映し出されている。著者の中村智幸さんと編集者がじつは一番強調したかったフレーズを、かっちり書評の中で引用してくれているのが、なによりうれしい。

この書評には愛を感じる。その愛はイワナを愛する者どうしが感じ合うことのできる愛なのだとも思う。どなたが書いてくれた文章なのだろうか。筆者さんのお名前を知りたい。こういう記事にはぜひ署名をしてくれればいいのにと思う。編集部にお電話してお名前をうかがうのは、なんかちょっと恥ずかしい。

昔、事務所でレザー・フェイス選手と一対一にならせてもらう機会があったときに、ああも言おうこうも言おうと思っていたのに固まってしまって、ほとんど喋られなかったことを思い出す。『Fly Fisher』さんの編集部にはすでにお礼状をお送りしているが、それだけじゃ足りない気がする。どうしよう。
| 仙川二郎 | 編集者無頼 | 15:29 | - | trackbacks(0) |
本栖湖へ行って来た。
久しぶりの、まるまる一日釣りの日。明け方に家を出た時は土砂降りだったけど、釣り場に着いたら絶好の釣り日和になっていた。なんだか僕の人生みたい(だったらいいのに)。

本栖湖の釣りはくせがある。そのくせを押さえてしまえば気楽に一日遊べる釣り場だ。今日はモンカゲ狙いは外したものの、昼間は大きなサイズのドライで楽しめた。

これからもっとよくなるに違いない。
| 仙川二郎 | 編集者無頼 | 23:26 | - | trackbacks(0) |
「フライの雑誌」第81号発行
「フライの雑誌」次号第81号発行のめどがようやくついた。予定通り5月20日の発売に間に合いそうだ。編集部はただいま、ほぼ1ヶ月ぶりの放心状態にある。魂が口と鼻からひょこひょこ出そうになるのを、オイオイと追いかけていちいち連れ戻すのは、けっこう面倒である。

雑誌作りは麻薬そのものだ。普段はきつくてつらいことばかりで、編集者は宿命的にいい目はみられない。ことにネットの時代になった現代では、紙媒体の編集者なんてもろ斜陽産業の希少種そのものである。

しかしである。読者の方からあたたかいお便りをいただいたり、自分の関わった媒体が社会へなにがしかの影響を及ぼせたのではと感じた時などの爆発的な快感は、賽の河原の石積みのように重ねて来た筆舌に尽くせないそれまでの労苦を、一瞬のうちに銀河系の向こうまで吹っ飛ばしてくれる。

そのスピード感といったら桂川のヤマメも真っ青、頭の中は多幸感で満たされてもうなんにもいらない。私はそんな瞬間を何回か味わったことがある幸せ者だ。第81号ではどうだろうか。

編集者と役者とフライマンは、三日やったらやめられない。
| 仙川二郎 | 編集者無頼 | 23:00 | - | trackbacks(0) |
「イワナをもっと増やしたい!」を『Fly Fisher』誌さんが紹介してくださいました
小社新刊「イワナをもっと増やしたい!」の書評を、月刊『Fly Fisher』誌さんが最新6月号の書評欄1ページを使ってご紹介してくださいました。この「Books on the Armchair」欄では以前にも、小社『新装版水生昆虫アルバム』『海フライの本』(残僅少)を紹介していただきました。感謝です。
| 仙川二郎 | 『イワナをもっと増やしたい!』フライの雑誌社新書第一弾 | 10:36 | - | trackbacks(0) |
「イワナをもっと増やしたい!」を中日スポーツさんが紹介してくださいました
小社新刊「イワナをもっと増やしたい!」を、俳人で釣り文化研究家の金森直治様が、中日スポーツの連載コラム「魚眼レンズ」で紹介してくださいました
裏表紙に「釣り人、漁協、水産行政の皆さんへ」とあるが、看板にイツワリなし。おすすめしたい。

感謝です。
| 仙川二郎 | 『イワナをもっと増やしたい!』フライの雑誌社新書第一弾 | 10:37 | - | trackbacks(0) |
モグラもたいへん
CSの釣り専門放送局(株)釣りビジョンさんのモバイルサイトにコラムを書くことになった。「人気アングラーコラム」というコーナーのなかの一枠で、私に限っては看板に大きな偽りがある。釣りビジョンさんは「フライの雑誌」を定期購読いただいている大切なお客さんだし、何を書いてもいいよ、本のPRも可とのことで、ありがたくお受けした。

ケータイ画面で読むためには、一回あたりの文字数を250字内におさめるのが基本とのこと。その文字数で枕を振ってくすぐりを入れて下げまで持っていくのは大変だろうと思っていたが、やはり、常日頃からつい余計なことまで喋りすぎの私にはムリだった。もっとも続き物でいいとのことなので、小話でも俳句でもなくて一人連歌だと思うことにした。それにしてもそんな素養はもちろんまったくない。

他の方のコラムを見たら、皆さんとても軽やかにこなされている。なんか楽しそうでいいなあと思う。そんな中に陰鬱な私の文章が混ざるのは、間違ってモグラがさんさんと降るお天道様の光の下に顔を出してしまったようなものだ。でもおれ顔文字なんか使えるキャラじゃないしな(*_*)。こうなったら気絶芸でもお見せするしかない。
| 仙川二郎 | 編集者無頼 | 10:15 | - | trackbacks(0) |
河口湖へ行った。
有名ポイントの河口湖ロイヤルホテル前は連休中とあって、家族連れや少年らのバス釣り人でいっぱいだった。観光立町をうたう富士河口湖町は大にぎわいで結構なことだ。

湖岸に降りてみて驚いた。ブラックバスの死体が波打ち際に累々と連なっている。まるで死体置き場だ。どの魚もすでに死んでから一週間以上経過している。目玉がえぐれたやつ、腹がガスでパンパンにふくれたやつ、ひれが全部溶けてダルマみたいなやつ…。当然腐臭もひどい。それらの死魚が寄せてはかえる波にゆらゆら揺れている。写真を撮る気にもなれない。バス釣り師たちは足下に転がっている死魚を避けるようにして湖岸に並びルアーを投げていた。哀しいのはそんな状況の中でも彼らが投げるルアーにバスが次々と釣れて来ていることだった。頼んで魚を何匹か見せてもらうと、明らかに放流モノで何度も釣られて口元がボロボロになった個体ばかりだった。

河口湖は日本で唯一、釣りに税金をかけている釣り場だ。富士河口湖町の遊漁税は、河口湖漁協が特別徴収義務者となって釣り人から税金を徴収している。そして河口湖漁協は執行部の内紛、乱脈経理を指摘されての県からの指導とトラブルが尽きない。遊漁税の導入時、河口湖町税務課の担当者は遊漁税が実現する「よい環境の河口湖」をこう説明した。「護岸には花がいっぱいあって、正面には富士山がある。トイレは水洗式でいつもきれいだ。トイレがきれいなら使う方も気持ちいいですよ。そういった素晴らしい環境の中で釣りを楽しんでいただきたい。そうすればまた河口湖へ行こう、と言っていただけます。」(「フライの雑誌」第55号47頁より)。遊漁税の導入から7年、河口湖は「よい環境」になったのかどうか。

河口湖は特定外来生物法の施行後は特例許可を申請し、「公認のバス釣り場」を観光の目玉として宣伝している。管理釣り場なら管理釣り場でいいから、きちんと管理したらどうか。放置された死魚が転がる水辺で子どもに釣りをさせられない。
| 仙川二郎 | 編集者無頼 | 21:33 | - | trackbacks(0) |
プロとアマチュア/お尻かじり虫と握手
年に一回、新宿で友人達が開いている陶芸の展示会を見に行く。前身から数えれば今年で20年以上になるのではないか。展示会を始めた頃の作品はいかにも素人くさく目を覆うばかりだったのに(ごめん)、ここ数年はにじみ出てくる風合いが玄人はだしである。継続することはこんなにも人を進歩させるのかと思う。

しかも、いかにもプロが狙って作り込んだ作品ではない、アマチュアが趣味で作っている作品ならではの温かみのある息づかいが感じられる。ぜひ普段使いで使いたくなる雰囲気がある。じっさい、我が家の食卓では彼らの作品のいくつかを楽しみながら使わせてもらっている。このあたりの感覚は、プロを自認するビルダーの作るバンブーロッドとアマチュアの作るそれとの、悩ましい関係性にも通じるところがある。要は、使う人間を楽しませてくれる道具がいちばんだということだ。

会いたかった人を待つ間、京王デパート屋上プレイランドの乗り物コーナーで時間をつぶす。トーマスとかプラレールとかアンパンマンとか、ふと気がついたら合計2000円分くらい乗り物に乗ってしまっていた。まさに無駄使いである。ちょうどプロモーションで来場していた「お尻かじり虫」と握手し、ついでにMCのお姉さんとも記念撮影をした。お姉さんはかわいかったので、ちょっと取り返した気分になった。

新宿を出たあとは、「フライの雑誌」77号でも紹介した三鷹の「マグノリア」で珈琲。ここは中央線のフライフィシングフリークが集う、ひじょうに正統派のまっとうな喫茶店である。「おとといこうだった」とか「きのうよかった」とかのシズル感にあふれた、最新釣り場情報を仕入れた(もちろんこちらからも情報を提供したのは当然)。あちらこちらの状況を総合すると、今年、東京近郊の渓流はかなり当たり年のようだ。
| 仙川二郎 | 編集者無頼 | 19:25 | - | trackbacks(0) |
終日出っぱなし。
朝早くに調布のたこつぼを這い出して、護国寺で入稿、新富町でうまくない珈琲、八丁堀「助六」でタン焼き定食、日釣振で釣りジャーナリスト協議会定例会、築地「ひよこ」でアイスティ、銀座7丁目でブラジル帰りの武勇伝、せっかく銀座に来たので8丁目の「ランブル」に詣でてから新宿西口、ふたたびたこつぼへ。ここ数週間のたこつぼ生活で足腰がなまっており、少し疲れた。

八丁堀「助六」はコストパーを考えると東京の牛タン店で一番ではないか。今から15年以上前に店がまだ屋台だった時から通っているが、味と雰囲気が落ちない。繁華街によくあるおしゃれな牛タンチェーン店とは質・量ともに比較にならない。

牛タンと言えば仙台。釣りに行った折、仙台で有名と言われる店はひととおり押さえたが、「助六」の方が総合的に上だった。「仙台の牛タンをよく知りもしないでいい加減なことを!」とおっしゃる方がいればぜひおすすめを教えてほしい。

異常プリオンが怖いからスーパーでアメリカ産牛肉はぜったい買わないくせに、どこ産とも分からない牛タンはばくばく食べて偉そうに批評するのである。

| 仙川二郎 | 編集者無頼 | 23:28 | - | trackbacks(0) |
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031
<< May 2008 >>
水生昆虫アルバム
水生昆虫アルバム
島崎 憲司郎
すべてはこの一冊から始まった。天才・島崎憲司郎のこれまで唯一の著作にして大ヒット作。水生昆虫と魚とフライフィッシングの関係を、独特の筆致とまったく新しい視点で展開する、衝撃の一冊です。
海フライの本―はじめての海のフライフィッシング
海フライの本―はじめての海のフライフィッシング
『フライの雑誌』編集部
国内初、海フライだけの単行本。未知の釣り、海フライを始めたくなる一冊です。渓流や湖のマス釣りで忙しい方の読み物としても楽しんでいただいています。
海フライの本 2 はじめての海フライ・タイイング&パターンBOOK
海フライの本 2 はじめての海フライ・タイイング&パターンBOOK
牧 浩之
まだ見ぬ世界へようこそ。国内初、類書なし。収録パターン70本以上。写真総数500点以上。読みごたえあるコラムも充実。フライマンなら見ているだけでも楽しくなる一冊です。
イワナをもっと増やしたい!―「幻の魚」を守り、育て、利用する新しい方法 (フライの雑誌社新書 1207)
イワナをもっと増やしたい!―「幻の魚」を守り、育て、利用する新しい方法 (フライの雑誌社新書 1207)
中村 智幸
開発や乱獲、温暖化に追われているイワナ。愛らしいイワナたちを「幻」にしないために私たちができることは、じつはたくさんあります。その具体案と最新事例を紹介し、イワナとヒトが長くつき合っていくための新しい方法を分かりやすく提案します。発売以来、大反響です。
フライの雑誌 80(季刊早春号) (80)

フライマンのライフスタイルをたっぷり3ヶ月楽しめる季刊誌、最新号です。
魔魚狩り―ブラックバスはなぜ殺されるのか
魔魚狩り―ブラックバスはなぜ殺されるのか
水口 憲哉
ブラックバスは、ぬれぎぬだ。環境を維持すればバス問題も起こらないし、在来魚も減少しない。ブラックバスを火あぶりにしたい人々、それぞれの事情。外来種問題の真実がよく分かる、異色のベストセラーです。
丹沢物語―ビッグセッジ 魚止め その他の短篇
碓井 昭司
なぜ生きるのか、なぜ人は山へ向かうのか。瑞々しい筆致と爽やかな読後感。生きる喜びに満ちた20の短篇。読んでよかったというたくさんの声が届いています。
釣魚大全〈2〉―澄んだ流れで鱒またはグレーリングを釣る方法
チャールズ コットン
350年前にもフライマンがいた。こう訳してこそ、フライフィッシング。今さら紹介するまでもない名著『釣魚大全』の、C・コットンによる第二部です。原書から転載された繊細なイラストレーションと、英国ダウ川周辺の写真を多数掲載。

このページの先頭へ